そうなのだ。
娘のアオイは先日婚約したばかり。
婚約者の彼と一緒に結婚式や
新婚旅行のためにお金を一生懸命に
貯めているところなのだ 。
私
「もし、お金が
足りないのであれば、
次からは私に言ってちょうだい。
アオイの邪魔をしないようにね」
この話はここで打ち切りになる
…はずだった。
相変わらず夫は日中に散歩と称して
どこかに出かけているようだった。
私としては家の中で
腐っているよりは
良いと思っていたのだが…。
そのように日常が過ぎていった。
ある時、また
アオイから電話がかかって来た。
アオイ
「ねえ、お母さん。
仕送りの額、減らして
もらうことできないかな?」
私の目玉と心臓は
飛び出そうだった。
私
「待ってちょうだい。
その口ぶりだと、アオイは
まだお父さんに
お金を送ってるってこと?」
驚いて少し語気が
強くなってしまったかもしれない。
アオイ
「え!?
お母さんは知らなかったの?
だって、お父さんは
「お母さんも知ってるから」
って言うんだもん。
お父さんにはお金を
いつもねだられるから、お母さんと
直接話そうかと思って…」
アオイの方もビックリしたような
声を出していた。