私はトウ子。
この前50歳になった。
25年以上も専業主婦として、
ひとつ年上の夫、モトノブを
支えながら過ごしている。
夫と私は私が23歳の時に、
当時としても
既に珍しくなっていた
お見合いを経て結婚をした。
うちの両親と
仲人さんの関係で断り切れずに
会った相手だったのだが、
話をするうちに
少しずつ惹かれて行き、
デートも重ねるようになった。
その頃、私の会社は
激務だったし、土曜日もまだ
完全に休みではなく「半ドン」
と言って午前中は仕事が
あるのが普通だった。
その半ドンの日ですら
結局1日出勤になることもザラ。
残業をすればするほど評価が
上がるという、今で考えると
謎なシステムが日本全体で
当たり前の時代だった。
週休2日制が導入されたのは
それからすぐ後の頃なんだけど、
とにかく、私は会社での仕事が
辛くて辛くて仕方なかった。
飲み会だって頻繁だったし、
そういう場では今なら
大顰蹙物のセクハラだって
珍しくなかったし、
女子社員は我慢して
当然だって風潮だったから。
ある時、せっかくの
デートなのに私は疲れ切った顔を
していたようだ。夫が、
夫
「どうしたんですか?
顔色が悪いですよ?
僕でよければ話を聞きます」
と言ってくれた。