私の中ですごくキレイな、
かけがえのない思い出だったのに…。
それすらもぶっ壊してくれた。
どれだけ私のことをコケに
すれば気が済むんだろうって。
もう、心の奥底に残っていた、
夫への情すら枯渇した。
よっぽど飛び出して行って
馬乗りで殴りつけてやろうかと思った。
だけど、そんなことをしたら
リンカ夫の計画も丸潰れになる。
リンカ夫も私の腕を軽く掴んで、
軽率なことをしないように
ストッパーになってくれた。
本当、この人と一緒に
行動していてよかった。
でなけりゃ、流血沙汰に
なっていたかも…。
ただ、私のメンタルが
ボロボロになってしまったので
リンカ夫
「キヌ子さん、無理はいけませんよ。
今日はここまでにしましょう」
って宥められて、その日は
大人しく宿に帰ることになった。
リンカ夫には
申し訳ないことをしてしまった。
タクシーを使って宿に戻ったんだけど、
沈黙に耐えられなくて。
お互いの身の上話というか、
配偶者との馴れ初めを話した。
リンカとリンカ夫は
幼馴染というか、
両親同士が親友同士だった。