こんな状況だけど
すごく味わって食べた。
というか、こんな状況だから
気を紛らわせてくれるのは
美味しい食事と
風光明媚な景色くらいなんだけど。
その日は夫とリンカが
出かける気配があったから、
変装して尾行してみた。
そしたら、なんか
デジャヴュのある場所に着いた。
すぐに思い出せた。
夫が私にプロポーズした場所に
よく似てるんだって。
当時、大学卒業してすぐの結婚で
式を挙げることを
私は考えていなかった。
なんかなし崩しに同棲して
書類を書いて…って
なるのかなって思ってたのよ。
そしたら夫が、
予約を入れるのが激ムズな
夜景で有名なレストランを
何度もキャンセル拾いに
チャレンジして用意してくれて…。
私が一度だけ口にした
私「こんな指輪、憧れちゃう」
…っていうのを覚えていたみたいで
そのデザインの指輪を
準備してくれてさ。
食事の後に
海が見えるロマンチックな公園で、
その指輪を跪いて私に差し出して…。
テルヒコ
「一生、大事にします。
君だけです。
どうか、俺と結婚してください」
ってプロポーズしてくれたんだよね。