安堵感が顔に現れていたのか、
車で自宅に向かっている途中、
神妙な顔でリュウジは
私にこう尋ねた。
夫
「なぁ、キヌ子…?」
私
「何?」
夫
「お前、お袋たちに
何か言われてないか?」
私
「えっ…と、
う…うん、大丈夫だよ!」
夫
「そうか…
ならいいんだけど」
私
「なんで
そんなこと聞くの?」
夫
「どことなく
元気ないように見えてさ…
まぁ、何かあったら
すぐ言ってくれよな!」
私
「うん、ありがとう」
夫
「実家の手伝いだってそんな
頻繁に行く必要はないんだぞ?
兄貴もいるし、親父もお袋も
歳とはいえ
動けないわけじゃないし…」
私
「っいいの、私が
手伝いたいだけだから…さ」
リュウジは
こう言ってくれたが、
私はリュウジと義実家の間に
溝ができてしまうのが怖くて、
どうしても
事実を言い出せなかった。
『義実家に呼び出される嫁』
ではなく、
『自分から進んで
義実家に顔を出す嫁』
それがリュウジの前で
装っていた私の姿だった。
そして、義母の孫の顔見せろ
攻撃はずっと続いていた。