義母
「トウ子さんはこの味を
ものにしようと自分から
率先して動いてた。
あんたはどうだい?
【うちの味を出せ!】
と言われた時にまず実物を
どんな調味料が
使われているか
調べることもしなかった。
そんな姿勢で後継者?
笑わすんじゃないよ!」
と、義母はまさに
立て板に水状態で
夫相手に無双を決めていた。
落ち込んで項垂れる夫を見て、
さすがに心が痛んだ。
だけど、義母の意図は夫の
ちっぽけなプライドを
フルボッコにすることじゃなくて
夫が自分から動くこと、
それが大事だと
気づかせることだったんだ。
夫は翌日、
イオリ
「俺、仕出し弁当を
正直甘く見過ぎていました。
トウ子に追いつけるよう、
下働きから始めたいです。
ご指導、ご鞭撻のほど
よろしくお願いいたします!」
と改めて義父母に頭を下げた。
元々サッパリした性格の義母は、
夫の改心に感心し、
サクッと弟子入りを了承。
夫は私と一緒に
働くことになった。
仕出し弁当作り、販売の現場に
入って、夫はこの店がどれだけ
地域の人から愛されて必要と
されているか
実感したようだった。