女性
「あったま来た!
私だって別れる!ていうか、
婚約指輪まで私に渡してきて
この仕打ち!
訴えてやるんだから!」
と、ヒートアップ。
四面楚歌だとさすがに
夫も悟ったようだ。
悟った後がまた、悪手を選んでだ。
こともあろうに、
ショウマに助けを求めたのだ。
夫
「なあ、ショウマ。
お前はパパとママの離婚なんて
嫌だよな?ママが怖くて
イヤって言えなかったって、
パパはわかってるんだよ。
な?正直な気持ちを
言っていいんだぞ?
パパがいなくなったら寂しいだろ?
パパなしなんて、
恥ずかしいだろ?」
あからさまに媚び媚びな声を
出す夫をショウマはしばしの間、
黙って見つめていた。
ショウマ
「パパ?パパって誰が?
僕、こんな人知らない」
夫「おい、ショウマ…」
ショウマ
「僕の大好きだったパパは
もういないよ。
だから今、
お別れ会をしてるんじゃないか。
それにパパがいない
お友達もいるけど、
全然恥ずかしくなんてないよ!
僕にだってママも
おじいちゃんも、
おばあちゃんも、おばちゃんも、
おじちゃんも、
いとこもみんないる。
ちっとも寂しくなんてない!!」
ショウマは一気に捲し立てると
私の手をギュッと掴んだ。
夫は息子の反応が
相当堪えたらしく、
その場で蹲って泣き出した。
もう手遅れなのに。