それが崩れてしまっては、
夫とショウマに取り返しがつかない
ほどの深い溝が
できてしまうかもしれない。
私はそう思った。
私
「ねえ、もしかしたら
今の状態でショウマに
しつこく接しようとするのは
良くないのかも。
厳しいあなたの印象が強くて、
遊びに誘っても委縮してしまってる
のかもしれないわ。
あなたは1度、ショウマと
距離を置いた方がいいわ」
夫
「なるほど、トウ子の言うことに
一理あるかも。
正直、今の部署は忙し過ぎてね。
家ではゆっくり休みたいと
思ってしまうんだ。
ショウマのことを気に
掛けていないわけではないけど、
ずっと思い悩むのもストレスだって
感じ始めていたんだ」
私
「そうだったの。私はもう少し、
ショウマを甘えさせる方向に
持っていくわ。
どうせ高学年か中学生くらいに
なったら、母親となんてまともに
口もきいてくれなく
なっちゃうでしょう?
今のうちに母子ベッタリを
楽しんでおくことにするね」
夫
「トウ子に負担を
かけることになるけど、
そうしてくれると助かるよ。
ありがとう」
こうして夫はショウマと少し距離を
開けることになった。
ショウマは休みの日に
夫と顔を合わせても、
夫
「おはよう」
ショウマ
「…はよ」
と、最低限の挨拶をするだけで、
素っ気ない態度は変わらなかった。
夫は苦笑しているだけだったが、
遊びや外出に誘っても
断られるというパターンが
なくなったので、
気が楽になったようだ。