ある日、仕事から帰ると、
コウスケが少し困ったような表情を
浮かべていた。
コウスケ
「あのさ、トウ子…
今日、君の親戚から連絡があってね」
コウスケ
「ヒロヤくんが
離婚したらしい」
私「…そう」
胸の中で、複雑な思いが渦巻く。
アキノのことを思い出す。
あの時の彼女の態度が、
今でも鮮明に蘇ってくる。
コウスケ
「何か、
思うところがある?」
私
「何もないわ。同情はするけど、
もう私には関係ないかな」
コウスケ
「そうか…でも、
ヒロヤくんとアキノさんのことが
解決したら、少しは
落ち着くかもしれないね」
私
「…そうね。彼女がいたら、
もっと酷いことに
なっていたかもしれないし…」
コウスケ
「ああ、そうだな」
その夜、娘を寝かしつけながら、
心の中で問いかけた。
私たちは、本当の意味での
家族になれたのかな——。
娘の寝顔を見ていると、
答えは明らかだった。
互いを思いやり、支え合える関係。
それこそが本当の家族なんだ。
この子とコウスケと生きていく、
ただそれだけで幸せだ。
コウスケが部屋に入ってきて、
私の隣に座る。
コウスケ
「どうした?何か考え事?」
私
「うん…ちょっとね
最近、よく思うんだ。
私たち、
ここまで来られたんだなって」
私
「あの日から、
いろんなことがあったけど…
今、こうしていられるのは、
あなたとあの子がいてくれたからよ」
コウスケ
「俺も同じことを思ってた。
トウ子、ありがとう」
私
「こちらこそ…ありがとう」
窓の外を見上げると、
満天の星空が広がっていた。
これからも辛いことはあるだろう。
でも、この家族となら、
どんな困難も乗り越えられる。
そう確信できた。
終わり