家族

急いで実家へ帰省すると…【20】

 

ある日、仕事から帰ると、

コウスケが少し困ったような表情を

浮かべていた。

 

コウスケ

「あのさ、トウ子…

今日、君の親戚から連絡があってね」

 

コウスケ

「ヒロヤくんが

離婚したらしい」

 

私「…そう」

 

胸の中で、複雑な思いが渦巻く。

 

アキノのことを思い出す。

あの時の彼女の態度が、

今でも鮮明に蘇ってくる。

 

コウスケ

「何か、

思うところがある?」

 

「何もないわ。同情はするけど、

もう私には関係ないかな」

 

コウスケ

「そうか…でも、

ヒロヤくんとアキノさんのことが

解決したら、少しは

落ち着くかもしれないね」

 

「…そうね。彼女がいたら、

もっと酷いことに

なっていたかもしれないし…」

 

コウスケ

「ああ、そうだな」

 

その夜、娘を寝かしつけながら、

心の中で問いかけた。

私たちは、本当の意味での

家族になれたのかな——。

娘の寝顔を見ていると、

答えは明らかだった。

 

互いを思いやり、支え合える関係。

それこそが本当の家族なんだ。

この子とコウスケと生きていく、

ただそれだけで幸せだ。

 

コウスケが部屋に入ってきて、

私の隣に座る。

 

コウスケ

「どうした?何か考え事?」

 

「うん…ちょっとね

最近、よく思うんだ。

私たち、

ここまで来られたんだなって」

 

「あの日から、

いろんなことがあったけど…

今、こうしていられるのは、

あなたとあの子がいてくれたからよ」

 

コウスケ

「俺も同じことを思ってた。

トウ子、ありがとう」

 

「こちらこそ…ありがとう」

 

窓の外を見上げると、

満天の星空が広がっていた。

これからも辛いことはあるだろう。

 

でも、この家族となら、

どんな困難も乗り越えられる。

そう確信できた。

 

終わり