思わず声が裏返る。
周りの空気が凍りついた。
私
「命を張った芝居?
こんな嘘まで…どこまで
私を利用すれば気が済むの!?」
母
「トウ子、落ち着いて…」
私
「落ち着けるわけないでしょ!?
救急車まで呼んで…
人の善意を
踏みにじるようなことをして!」
ヒロヤ
「姉ちゃん、
俺たちだって必死なんだ…」
私
「必死?何が必死なの?
人を騙してまで金を巻き上げようと
する神経が理解できないわ!
救急隊員や病院の人たちの時間を
無駄にして、
本当に困っている人の助けを
遅らせるかもしれないのよ!」
アキノ
「怖っww
ちょっとぉ~!そこまで
言わなくてもいいじゃ~んww」
私
「あなたは黙ってて!
この家のやり方を
良しとしてるあなたも同罪よ!」
コウスケ
「トウ子、
一旦落ち着こう。」
その言葉で我に返り、
怯えた表情で私たちを
見ている娘に気づいた。
私
「そうだね…ごめん。
怖かったよね?」
娘は小さく頷いた。
深いため息をつき、
家族の方を向く。
私
「これで本当に終わりよ。
もう私たちに関わらないで。
…家族じゃない。他人よ」
母
「トウ子!待って!」
ヒロヤ
「姉ちゃん!」
彼らの声を振り切るように、
コウスケと娘の手を取り、
車に向かった。
もう振り返ることはない。
アクセルを踏み、
車はゆっくりと動き出す。
母
「トウ子!待って!
ねぇ!助けて!!
本当に今度だけでいいから!!
お金あるんでしょ!?!?」
ヒロヤ
「姉ちゃん!待てよ!
話聞けって!」