家族

急いで実家へ帰省すると…【14】

 

「信じられない…

10年経っても、

何も変わってないのね」

 

「お願いよ。

あなたしか頼れる人がいないの」

 

「頼れる人?w

私のことなんて、お金を

無心する時しか

思い出さないくせに?」

 

ヒロヤ

「姉ちゃん、俺たちだって

ちゃんと反省してる。だから…」

 

「反省って?

一体何を反省してるの?

借金作ったこと?

それとも、私を

利用しようとしたこと?」

 

重苦しい沈黙が部屋を支配する。

 

「…もう十分よ」

 

立ち上がろうとする私の袖を、

母が慌てて掴む。

 

「待って!トウ子、お願い。

今回だけよ。

今回さえ助けてくれれば…」

 

「今回だけ?10年前も

同じこと言ったわね。

でも、結局何も変わらなかった。

もういい、何も聞きたくない」

 

コウスケが私の肩に手を置き、

静かに頷いた。

 

「帰るわ。

二度と電話してこないで。

さようなら」

 

娘の手を握り、玄関に向かう。

車に乗り込み、エンジンをかける。

 

父の怒鳴り声、母の泣き声、

そしてヒロヤの懇願する声が、

次第に遠ざかっていく。

 

コウスケ

「大丈夫?」

 

「うん…なんとか…ね」

 

「ママ、

おじいちゃんたち怖かった…」

 

私「ごめんね。

もう大丈夫だからね」

 

実家が見えなくなるまで、

誰も言葉を発さなかった。

 

長い一日が、

ようやく終わろうとしていた。

 

実家を後にした私たちは、

近くの公園に車を停めた。

頭の中を整理する必要があった。

 

コウスケ

「大丈夫か?」

 

「ええ…落ち着いたわ。

ただ、こんな家族の姿を

見せてしまって

申し訳ない気持ちでいっぱいよ」