家族

急いで実家へ帰省すると…【13】

 

「そ、そんなことないわよ!

ほら、ほらぁ〜え〜っと…」

 

「…もういいわ。

で、本当の理由は?」

 

父は大きく息を吐くと、

肩を落として話し始めた。

 

「実はな、俺たち…さっきも、

チラッと言ったと思うんだが

借金があるんだ」

 

「…」

 

「トウ子、お願いよ。今度も

私達を助けてくれないかしら?」

 

ヒロヤ

「いやぁ〜俺たち、

本当に困ってるんだ」

 

「困ってる?

10年前と同じセリフね」

 

過去の記憶が蘇る。

 

大学を卒業したばかりの私が、

必死で働いて両親と

弟の借金を返済した日々。

 

ありがとうの言葉はあっても、

私に対して

返済の話は一切なかった。

 

「いくら?」

 

「え?」

 

「借金の額よ」

 

「そうね…1000くらい

だったかしらね?」

 

私「え?ちょっと待ってよ。

1000万!?何に使ったの?」

 

ヒロヤ

「俺たちの結婚式とか…」

 

アキノ

「あと、あとぉ〜

新車も買ったしね〜

お姉さんも後で見ますぅ?」

 

「…結婚式に新車?

何考えてるのよ…」

 

「いや、それだけじゃ

ないんだ。実は…」

 

父の目が泳ぐ。

その様子に、既視感が走る。

 

「…ギャンブル?」

 

ヒロヤが顔を背けた。

その仕草で、全てを悟った。