コウスケ
「ねぇトウ子、
少し外で話そうか」
コウスケに促され、一旦外に出る。
背後から両親とヒロヤの声が
聞こえるけど、振り返らない。
外の空気を胸いっぱいに吸うと、
少しずつ頭が冷えてくる。
コウスケ
「大丈夫?」
私
「ごめんね、
こんな醜態を見せちゃって…」
コウスケ
「いいんだ。でも、
このまま帰っちゃっていいの?」
私
「…どういうこと?」
コウスケ
「せっかく来たんだから、
キチンと話をつけた方が
いいと思うんだ。
これが最後の
チャンスかもしれないし…ね?」
コウスケの言葉に、足が止まる。
確かに、このまま帰ってしまえば、
もう二度と会うことはないだろう。
本当に、それでいいのか…
深いため息をついて、
家の中に戻る。
リビングでは、両親と
ヒロヤ夫婦が固まったように
私たちを待っていた。
私
「話を聞くわ。
本当の理由を教えて」
父
「ほ、本当の理由って…」
母
「だから、それはちゃんと
伝えたじゃない?
孫に会いたいって…」
私
「嘘よ。孫に会いたいだけなら、
こんな大げさな歓迎はしないわ。
それに…娘のことなんて、
ほとんど気にしてないじゃない
なんなら、
一言も話してないんじゃない?」
ヒロヤ
「姉ちゃん、
そりゃあ酷いよ…」
私
「じゃあ、
娘の名前言ってみて?」
重苦しい沈黙が流れる。
私
「ほら。答えられないじゃない。
知らないでしょ?」