家族

急いで実家へ帰省すると…【11】

 

ヒロヤ

「おい、アキノ!

まじでやめろって!!

姉ちゃんに失礼だぞ!」

 

アキノ

「ねぇ!!

なんで私ばっかり…

私だって家族の一員でしょ?」

 

「そうね。

確かにあなたも家族よ。

だからこそ、お互いを

尊重し合うべきじゃないかしら?」

 

「まあまあ、みんな落ち着こう。

トウ子、確かに

俺たちにも非はある。

でも、家族なんだから

助け合うのは当然だろ?」

 

「助け合う?どういうこと?」

 

「その…実はね、

少し借金があって…」

 

「また借金?

やっぱりこんなことじゃ

ないかと思ってた。

冗談じゃない…」

 

ヒロヤ

「姉ちゃん、聞いてくれよ。

俺たち、本当に困ってるんだ」

 

手が震えるのを押さえながら、

声を絞り出す。

 

「困ってる?

あなたたちが困ってるって?

 

私は10年前、

あなたたちの尻拭いで、

どれだけ苦労したと

思ってるの!?」

 

「わかってる、

そんな事わかってるよ!

でも今回は本当に…」

 

「もう聞きたくない!」

 

突然、娘が泣き出した。

 

「ママ…怖い…」

 

「ごめんね。もう帰ろう」

 

立ち上がろうとする私の腕を、

母が慌てて掴む。

 

「待って!

トウ子、お願い。話を聞いて…」

 

「聞く必要なんてないわ。

10年経っても、

あなたたち…何も、

何一つ変わってない」