家族

急いで実家へ帰省すると…【9】

 

違和感が背筋を走る。

それでも、箸を取る。

 

ヒロヤ

「姉ちゃん、仕事順調?」

 

「えっ?

あ、まあ…それなりにね…」

 

「それなりにって、

謙遜しなくていいんだぞww

ウチの娘は

会社経営者なんだからな!

ハッハッハ!」

 

「そうよ。みんなに

自慢してるわよww」

 

自慢?私のこと、

ろくに知りもしないのに—

 

アキノ

「へぇ〜、お姉さん

凄いんだ。

じゃあ、お金持ちなんでしょ?」

 

ヒロヤ

「おい、アキノ!」

 

言葉を飲み込む。

家族の態度に、

ますます違和感が募る。

 

そして、彼らが私に

近づこうとする本当の理由が、

少しずつ見えてきた。

 

やっぱり…お金なの?

 

その時、娘が

不安そうな目で見上げてきた。

 

「ママ…」

 

「大丈夫よ。もうすぐ帰るからね」

 

コウスケが私の手を握り、

小さく頷いた。

 

ごめんね。こんな家族に会

わせちゃって—。

 

胸に刺さるような痛みを

感じながら、この異様な

食事会は続いていった。

 

異様な雰囲気の中、食事が進む

両親とヒロヤは、やたらと

私の仕事の話を

聞き出そうとしてくる。

 

「で、トウ子。今の会社の

年商はどれくらいなんだ?」

 

「え?あ、まあ…そこそこかな」

 

「そこそこってww

具体的に教えなさいよ~?

水くさいわねww」