特別惹かれたわけじゃない。
でも、彼と話していると
心が落ち着いた。
仕事の話にも理解を示してくれて、
私の気持ちを汲んでくれる。
そんな彼と、いつの間にか
付き合うようになっていた。
プロポーズの時も、
特別ときめいたわけじゃない。
でも、このまま一緒に
いたいと思った。
ただ、それだけ。
コウスケ
「トウ子さんのペースに
合わせるよ。
結婚式とか新婚旅行とか、
どうする?」
私
「そうねぇ…そういうのって、
時間もかかるし。
私たちらしくないかな?って思う」
コウスケ
「なるほど(笑)
トウ子さんらしい考え方だね。
じゃあ、俺たちらしい
やり方で進めていこう」
私の考えを受け入れてくれた。
そうして、
私たちは静かに結婚した。
新婚生活は悪くなかった。
コウスケは仕事を理解してくれて、
家事も手伝ってくれた。
それなのに、どこかで
物足りなさを感じていた。
家族って何だろう?
そんな問いが、頭を
よぎるようになった。
コウスケの両親は他界していて、
彼は一人っ子。
私たち夫婦だけが家族。
でも、これでいいのかな。
そんな思いが募っていた。
疑問を抱えたまま、
日々は過ぎていった。
仕事に追われる毎日。
気づけば結婚から
半年が経っていた。
そんなある日、
思いがけないことが起きた。