家族

急いで実家へ帰省すると…【2】

 

特別惹かれたわけじゃない。

 

でも、彼と話していると

心が落ち着いた。

仕事の話にも理解を示してくれて、

私の気持ちを汲んでくれる。

 

そんな彼と、いつの間にか

付き合うようになっていた。

 

プロポーズの時も、

特別ときめいたわけじゃない。

でも、このまま一緒に

いたいと思った。

 

ただ、それだけ。

 

コウスケ

「トウ子さんのペースに

合わせるよ。

結婚式とか新婚旅行とか、

どうする?」

 

「そうねぇ…そういうのって、

時間もかかるし。

私たちらしくないかな?って思う」

 

コウスケ

「なるほど(笑)

トウ子さんらしい考え方だね。

じゃあ、俺たちらしい

やり方で進めていこう」

 

私の考えを受け入れてくれた。

そうして、

私たちは静かに結婚した。

 

新婚生活は悪くなかった。

コウスケは仕事を理解してくれて、

家事も手伝ってくれた。

 

それなのに、どこかで

物足りなさを感じていた。

 

家族って何だろう?

そんな問いが、頭を

よぎるようになった。

 

コウスケの両親は他界していて、

彼は一人っ子。

 

私たち夫婦だけが家族。

でも、これでいいのかな。

そんな思いが募っていた。

疑問を抱えたまま、

日々は過ぎていった。

 

仕事に追われる毎日。

 

気づけば結婚から

半年が経っていた。

そんなある日、

思いがけないことが起きた。