夫の様子を見て表情が
曇る患者さん。
診察はこれでお終いだ。
退出というタイミングで、
私はサポートをしてくれていた
看護師がカルテを
置き忘れているのに気づいた。
私
「あっ!
ヒロちゃん、コレ!」
夫は大ポカをやらかした。
ヨシヒロ
「え、何!?」
看護師が反応する前にサッと
返事をしたのだ。
私は夫の名前
「ヨシヒロ」の「ヒロ」
を取って、「ヒロちゃん」と
家では呼んでいた。
夫の兄弟は全員名前の
一文字目に「ヨシ」の文字が
入っていて、義実家では
二文字目をモジって
呼んでいたのに倣ったのだ。
覆水盆に返らず。
夫はハッと口許に手を
持って行ったが、
かえってそれが墓穴を
掘る形になってしまった。
私
「あなたも確かに
ヨシヒロさんで
『ヒロちゃん』ではあるけど、
看護師の洋美さんを呼んだ
つもりだったんですが(笑)」
内心ニヤつきながらも、
さも困惑したような
表情を作る私。
恥ずかしさで赤面する夫。
その横でさすがに状況を
理解したのか怒りのあまり
茹でダコ状態になる不倫相手(笑)
診察は終了したので、
患者さん扱いは終了だ。
不倫相手は最初から
私と夫のやりとりに不審な点を
感じていたようだったが
「ヒロちゃん」呼びで、
確信を持ったのだろう。