慰謝料の請求と言えば、
不倫相手の特定に手こずる場合も
多いらしいが、
私の場合は非常に容易だった。
というのも、不倫相手は
私が産婦人科で不妊治療を
担当している患者だったからだ。
既に次回の予約も成立している。
不倫相手
「次の検査結果は、
彼氏と一緒に伺います」
ってルンルンだった。
ちなみに、私は週に1回、
別のクリニックで
非常勤医師として働いている。
この患者は普段の
病院じゃなくて、そっちの
クリニックに通っている。
ただでさえ産婦人科医が
不足している現在、
女性の産婦人科医って
ものすごく需要がある。
さて、このクリニックでは
人工授精や体外受精になると、
未婚者の場合は戸籍謄本や
住民票などで双方が独身なことを
証明しなくてはいけない。
生まれてくる子の法的な
地位を守るためだ。
一方で不妊の
スクリーニング検査の場合で
あれば、特に証明書などが
なくても未婚者も受診ができる。
夫は既婚者だから、独身の証明が
できないので
スクリーニング検査を
したということになるだろう。
十中八九、夫とは診察室で
鉢合わせをするだろう。
夫には私がクリニックで
非常勤をしていることは
知らせていなかったから
きっと驚くだろう。