カナミは明らかに動揺し、
私を見るなり足早に
立ち去ろうとした。
私も同じように、
別の通路に向かおうとした。
しかし、ユイが
突然泣き出してしまった。
慌ててユイをあやそうとする
私の姿を、カナミはちらりと見た。
その目には、複雑な感情が
浮かんでいるように見えた。
カナミは何か
言いかけたように見えたが、
結局何も言わずに
その場を立ち去った。
私も急いでレジに向かい、
できるだけ早くその場を離れた。
家に帰る途中、複雑な感情が
胸をよぎった。
カナミを見たことで、
過去の出来事が蘇ってきた。
でも同時に、今はあの頃とは違う
自分がいることにも気づけた。
ユイを抱きしめながら、
私は前を向くことを改めて誓った。
家に帰り、
ユイを抱きしめながら考えた。
辛かったけど、この子が
いてくれたから乗り越えられたんだ
ユイの寝顔を見ていると、
不思議と心が落ち着く。
時が経つにつれ、マサナリのことを
考える頻度も減っていった。
たまに思い出すことはあっても、
もう痛みは感じない。
ただ、ユイのために
良い父親になれなかったことを
残念に思うくらい。
私
「ユイ、ママは幸せだよ。
あなたがいてくれるから」
ユイ
「まんま！」
その言葉に、
思わず笑みがこぼれた。
