仕事を終え、まず実家に寄る。
ユイを預かって
もらっているからだ。
玄関を開け、
私
「ただいま、ユイ」
と声をかける。
嬉しそうな声を上げ、
よちよちと私に近づいてくる。
両手を上げて抱っこをせがむ
その仕草に、思わず顔がほころぶ。
抱き上げたユイの温もりを
感じながら、一日の疲れが
吹き飛ぶのを感じた。
この子の笑顔は、
本当に魔法のようだ。
私
「お母さん、今日もありがとう」
両親に礼を言い、ユイと一緒に
自分たちの小さなアパートへ帰る。
仕事と育児の両立は
決して楽ではない。
夜中にユイが泣き出し、
あやしながら
孤独を感じることもある。
でも、そんな時は両親が様子を
見に来てくれたり、
友人が電話をかけてくれたりする。
周りの支えがあるからこそ、
この生活を続けられているのだ。
友人
「トウ子、
本当に強くなったわね」
私
「そう?
まだまだだと思うけど…(笑)」
友人
「シングルマザーとして
頑張ってる姿、
本当にかっこいいよ!」
そんな言葉に、
少し照れくさくなりながらも、
頑張ってきてよかったと思えた。
ある日、スーパーでばったりと
カナミに出会った。
互いに目が合った瞬間、
空気が凍りついたようになった。