病院に到着すると、
まず診察室へ案内された。
医師
「まだ分娩室に入る段階では
ありませんね。
分娩準備室で様子を見ましょう」
分娩準備室で数時間を過ごし、
陣痛の間隔が短くなり強さも
増してきた頃、ようやく分娩室への
移動が決まった。
医師や看護師たちが忙しく
準備を整える。
医師
「はい、トウ子さん。
深呼吸して。もう少しですよ」
母
「トウ子、頑張って!」
陣痛の波が押し寄せるたびに、
私は全身の力を振り絞った。
私
「うっ…ああっ!」
医師
「見えました!
あと少し頑張って!」
最後の力を振り絞り、
赤ちゃんを押し出す。
そして…
力強い泣き声が
部屋中に響き渡った。
医師「おめでとうございます。
元気な女の子です」
その瞬間、すべての痛みが
消え去ったかのように感じた。
涙があふれ出る。
看護師が包まれた赤ちゃんを
私の腕に抱かせてくれた。
小さな、でもしっかりとした
命の重みを感じる。
赤ちゃんは泣き止み、
ゆっくりと目を開けた。
その瞬間、この子のために
何でもしようと心に誓った。
母
「トウ子…おめでとう」
父
「よく頑張った」
両親も涙ぐんでいる。
私
「ようこそ、ユイ。ママが
ずっとあなたを守るからね」
名前は「ユイ」と決めた。
「結い」という言葉から着想を得て、
私とユイの強い絆、
そして周りの人々との
繋がりへの願いを込めて。