カナミ
「…そうよ!
私たちの気持ちをもてあそんで…」
私
「カナミさん…
あなたも悪いんだよ。
マサナリが既婚者と知りながら
関係を続けたでしょ?」
マサナリ
「二人とも、
落ち着けって!俺が全部悪いんだ」
私
「そうだね。あなたが一番悪い。
それに、私は落ち着いてる。」
カナミ
「私…私…」
カナミの泣き声が
途切れ途切れに聞こえる。
状況がどんどん収拾
つかなくなっているのを感じる。
私
「もういい…
とにかくこんな話なら
聞きたくない。
私はあなたとやり直すなんて
考えてないから。」
マサナリ
「は?おい!
待ってくれ、トウ子!」
私
「私の気持ちは変わらないし、
変えるつもりもないから。」
そう言って、電話を切った。
しかし、すぐにまた鳴り始める。
今度はちゃんと
着信拒否に設定する。
両親が心配そうに
部屋に入ってきた。
母
「トウ子、大丈夫?」
私
「うん…なんとか」
父
「…」
父は黙って私の肩に手を置いた。
その仕草に、心配が滲み出ていた。
私
「お父さん…」
両親の優しさに、
またも涙があふれる。
だけど、
今は泣いてる場合じゃない。
これからの事を
考えなければならない。
この状況を一つずつ乗り越えながら、
新しい人生への一歩を
踏み出そうと心に決めた。
マサナリもカナミも、
もう過去のこと。
これからは、この子と二人で、
ゆっくりと歩んでいく。
そう考えたとき、
心が少し軽くなるのを感じた。