母
「トウ子、よく頑張ったわね」
父は怒りを抑えきれない様子で
拳を握りしめた。
父
「あいつには、きちんとけじめを
つけさせる!」
両親の支えに、安心感を覚える。
しかし、この先の不安は消えない。
その夜、マサナリから何度も
電話がかかってきた。
最初は無視していたが、
あまりにしつこいので
仕方なく出ることにした。
マサナリ
「トウ子!
やっと電話に出てくれた。
聞いてくれ、俺は…
俺は間違ってた!
謝って許してもらえるとは
当然思ってない!
けど…
お前を選びたいと思ってるんだ」
マサナリ
「俺はお前と、
そしてこれから生まれてくる子と
一緒にいたい。
カナミとは別れるから!!
だから!俺と…!!」
私
「今さらそんなこと言うの?」
マサナリ
「俺、考えたんだ。
お前がいなくなって、
初めて気づいた。
お前がどれだけ大切か」
私
「…」
マサナリ
「トウ子、
もう一度やり直そう?」
その瞬間、別の声が電話越しに
聞こえてきた。
カナミ
「は?待って!
何言ってるの?正気??
私のことはどうするの?」
カナミの声に、私は驚いた。
背景の物音から、
マサナリとカナミが同じ場所に
いることが明らかだった。
私
「カナミさんもそこにいるの?」
マサナリ
「ああ…カナミに事情を
説明しようと思って…」