涙が頬を伝う。
悲しみと怒り、裏切られた痛みが
胸を締め付ける。
カナミ
「マサナリ?
もういいじゃん。
私たちの関係をこの女に
説明する必要なんてないでしょ」
マサナリ
「トウ子、俺が悪かった。
冷静に話し合おう」
私
「冷静に?こんな状況で
冷静でいられると思う?」
怒りに任せて、マサナリの頬を
平手打ちしようとした。
しかし、その瞬間、
急な動きで軽い眩暈を感じる。
私
「うっ…」
マサナリ
「トウ子!大丈夫か?」
私
「触らないで!あなたに
心配される筋合いはないわ!!」
一瞬の眩暈に、思わず
お腹に手をやる。
赤ちゃんのことを考えると、
これ以上
興奮するわけにはいかない。
深呼吸をして、
少し落ち着こうとする。
カナミ
「ほら見て、マサナリ?
この女には無理だよ。私となら…」
私
「黙って!
あなたに何がわかるの?」
マサナリ
「カナミ、やめろ!
今はやめてくれ!
トウ子、そんな無理をするな。
落ち着いて!!」
私
「落ち着け?むしろ、
あなたたち二人を見ていると
気分が悪くなる…もう十分よ。
私、この車から降りる。
二度と私の前に現れないで」
そう言って、
ドアを開けようとした。
マサナリが腕を掴んで止める。
マサナリ
「待ってって!
こんな状態でお前を
一人で帰すわけにはいかない」
私
「放してよ!だから!あなたに
心配される筋合いはないって
言ってるでしょ!?」