カナミ
「トウ子さんのこと?
でも、あなたは
私のことが好きなんでしょ?」
マサナリ
「もちろん。
カナミが好きだよ。
でも、トウ子は妊娠してるんだ。
簡単には片付けられないだろ?」
カナミ
「そうだね…でも、
私たちの関係はもう1年以上
続いてるんだよ。
いつまでも周りに
秘密にしてるの嫌なんだけど?」
1年以上の関係?私が妊娠する前
からってことじゃない!
その事実に、ショックを受ける。
私たちが子どもを授かる喜びを
分かち合っていたとき、
マサナリはすでにカナミと関係を
持っていたのだ。
背筋が凍るような寒気を感じる。
マサナリ
「わかってるって。
俺も早く決着をつけたい。
でも、こればかりは
慎重にやらないと…だろ?」
カナミ
「あなたの気持ちは
わかってるよ?
でも、私にも限界があるの。
このままズルズル
引き延ばされるのは嫌ってこと!」
マサナリ
「ごめん、カナミ。
もう少しだけ時間をくれないか?」
カナミ
「…わかったわ。
でも、約束してよね。
必ず私を選んでくれるって!」
マサナリ
「あぁ、約束する。
俺たちで
新しい人生を始めような!」
その言葉を聞いて、
私の中で何かが切れた。
怒りと悲しみが限界を超え、
冷静でいられなくなった。
こんな会話、
もう聞いていられない!
咄嗟に身を起こし、
前の席に手をかける。
私
「嘘でしょ!?」
私の叫びは、怒りと悲しみが
入り混じった、半狂乱の声だった。