2人は洋服店に入っていった。
私も少し遅れて店内に入る。
陳列棚の影に隠れながら、
2人の様子を窺う。
カナミ
「ねえ、マサナリ。
この服、私に似合うと思わない?」
マサナリ
「うん、本当に
似合ってるよ。
君は何を着ても綺麗だけど」
カナミ
「もう…やだッw
照れちゃうじゃない!」
甘い雰囲気を出す2人。
その光景に、
私の胸は張り裂けそうになる。
同時に、
激しい怒りが込み上げてくる。
この女と
どれくらい付き合ってるの?
私が妊娠する前からなの?
それとも…
疑問が次々と湧いてくる。
2人は洋服を何着か手に取ると、
レジへ向かった。
マサナリがカードを
出して支払いをする。
私たちの共同口座のカードだ。
その光景に、さらに怒りが増す。
子どものために貯めているお金で、
浮気相手の服を買うなんて…
買い物を終えた2人は、
まだ他の店を見て回るようだ。
このままずっと追いかけるのは
無理だと判断した私は、
別の方法を考えることにした。
このまま2人を見失うわけには
いかない。でも、どうすれば…
そのとき、ある考えが
頭に浮かんだ。
危険かもしれない。
でも、真実を知るためには、
これしかない。
私は決意を固めると、
急いで駐車場へ向かった。
幸い、マサナリの車は
すぐに見つかった。
もちろん車の合鍵を持っている。
手が少し震えながら、
鍵を取り出した。