ユウジ
「うん。
オレって、
結婚に向いてないと
思い込んでたんだけど、
キヌちゃんならって
思うようになった。
きっと、
キヌちゃんならオレを
理解してくれる。
いや、キヌちゃん
しかいない」
そう言われて、
私も悪い気はしなかった。
私自身、最初の結婚は
失敗したとはいえ、
まだやっと
20歳になったところ、
結婚に憧れが
消えたわけじゃなかった。
一人で生きていく事への
不安もあり、
反対を押し切って結婚した
挙句に離婚した引けめから、
親に頼れない気分も
ずっとあった。
同い年だった前夫に比べて、
一回り以上年上のユウジは、
大人の余裕たっぷりに
見える。
彼は魅力的だった。
とりあえずは同棲してみよう
というユウジの提案を、
私は受け入れた。
気が付いた時には、
私はアパートを引き払い、
身一つで彼の自宅へ足を
向けるという状況に
なっていたのだった。