画面の端に辛うじて
夫とサリイの姿が映る。
夫の頭は
ありのままの姿を晒し、
清々しいことになっていた。
サリイ
「いやあああ!
この写真が本当だなんて!
今まで騙してたの!?」
写真、とは私が金庫のカツラの
下に鎮座させておいたモノだ。
夫がカツラを脱いで
グースカ寝ている姿を
映しただけのものだけれど。
サリイは写真が本物かどうか
確かめるべく、夫の頭を
引っぺがしたというわけだ。
怒りに震えるサリイの手から
夫はカツラを奪い返し、
内側を確認。
夫
「ああっああ~。
俺の、俺の毛が!
なけなしの俺の毛があああ…」
どうやら勢いよく
引っぺがしてしまったため、
頭皮とカツラをつけていた
粘着テープに弱弱しいながらも
頭に残っていた
貴重な毛が抜けて
貼りついていたようだ。
頽れて床に突っ伏し、
子どものように泣きじゃくる
夫の姿にサリイは
ひたすら
ドン引きしている様子。
私
「いつかは
わかることだったんだから、
そんなに
嘆くことないじゃない。
あなた達の愛情ってそんなに
薄っぺらい
わけじゃないでしょ?」