けれど、私たちの
幸せのピークは
その夜だったのかもしれない。
夫は異動後、非常に
忙しくなっていった。
まず、残業が増えた。
私達の家には
自動車が1台あり、
私と夫で一緒に使っている。
移動前は一緒に
出退勤をしていたけれど、
退勤時間が
ずれるようになったため、
出勤時は2人で同乗し、
帰りは私が電車とバスを
乗り継いで帰宅するという形に
変わった。
これには夫が勤務中に
車で外回りを
することも関係している。
そのうち、夫が家で
夕食を取ることも少なくなり、
毎日作っていた
お弁当も要らないと
言われるようになった。
残業も最初は9時過ぎには
帰宅できていたものが、
そのうち10時11時と遅くなり、
日付が変わっても
帰ってこないことだって
珍しくなくなっていった。
その頃になると夫から、
「今日も12時を過ぎると思う。
先に寝てて」
というメッセージが
届くように。
私も翌日の仕事があるので、
先に就寝する。
夫と顔を合わせるのは
朝起きてから出勤中の
車中のみという状態が当たり前
のようになってしまった。
正直、寂しくはあったけれど、
そんな時でもお互いに理解を
示すのが夫婦だと思っていた。