夫
「金、金、金って、俺以上に
金に執着してたのは誰だよ!
そもそも俺は写真だけでも
いいって言ったのに、
フロリダで式を
したいって我儘を抜かしたのは
お前だろ!
だったら、お前も少しくらいは
出そうって気がないのか!」
ナナコ
「ふざけないでよ!
アンタがどうしても
私と結婚したいって頼み込むから、
せめて私の希望は叶えてよ、
ってことでしょう!
自分の金がないどころか、
嫁頼りの男なんて願い下げだわ!」
夫
「何だと、この守銭奴!
こっちだってお前みたいな
銭ゲバ女、愛想が尽きたぞ!」
ナナコ
「それはどーもー!
じゃー、私はこれで」
ガシ。
私はどさくさに紛れて逃亡しようと
するナナコを捕まえた。
私
「お待ちなさい、
ナナコちゃーん。
お話はまだ済んでないわよ~」
ナナコ
「ひぃ!」
私
「私、あなたのお顔とお名前は
知ってるけど、
住所は知らないのよ」
ナナコ
「だから、何なんです?」
私
「でもね、夫と職場が一緒だって
いうのは知ってるわ。
だからね。
慰謝料請求の内容証明。
来週中に勤務先に届くからね。
逃 げ ちゃ だ め よ。
もし、そんなことをしたら、
そこの男からあなたの
ご実家の住所を聞き出して、
そっちに送り付けるから。
ご両親…
きっとびっくりしちゃうわねぇ」