浮気

私の貯金を充てにして駆け落ちした夫【12】

 

夫をブチのめしながら、

結婚式の支払いの宛が

なくなったことに気づいて

青ざめるナナコ。

 

いやいや、他人からくすねた金で

海外挙式とか、それこそ

「神経を疑う」んですけど?

 

「トウ子、一生に1度のお願いだ!

お前の貯金の半分とは言わない。

せめて3分の1でいいから、

俺にくれ。

 

頼む、この通りだ」

 

突然、下の方から声がしたと

思ったら、夫が這いつくばるように

土下座の姿勢を取っていた。

 

「浮気相手との結婚式のための

お金を出す嫁なんて、

この世にいると思うの?」

 

アキナ

「いないよねー♪」

 

「ねー♪」

 

私達母子に揶揄われても、

夫は頭を上げなかった。

 

ナナコ

「は?

その程度の貯金もないの?

嫁の金しか当てがないわけ?

嘘…、私、とんでもない男に

引っかかっちゃった?」

 

現実を直視したのか、ナナコが

急に冷静なことを言い出した。

 

私達の言葉には

無反応だった夫だったが、

ナナコのセリフは

ぐっさり刺さったようだ。