浮気

私の貯金を充てにして駆け落ちした夫【10】

 

「家族の?

あれは私の、私だけの

お金ですけど?

 

祖母が私宛に残した遺産は

私の物であって、アナタのものには

なりません!」

 

「…」

 

「はあ。離婚するとはいえ、

娘の父親を泥棒にしないように

配慮しただけなのに、

この言いがかりのつけよう。

 

恥ずかしいと思わないの?」

 

夫、顔真っ赤にしてプルプル。

 

「祖母の遺産はきちんと使い道を

考えています。浪費だなんて、

アナタと一緒にしないでくださる?

あと、そんな残高の通帳、

要らないでしょ?

 

名義は私なんだし、もう返して」

 

「嫌だ!財産分与だ!

お前が貯金を出来たのは、

俺が生活費を出していたからだ!

共有財産になる!」

 

どこでそんな知恵をつけたのか。

でも、私が

こんなポンコツ中年オヤジに

負けるとでもお思いか。

 

「残念でした。

何度も言っているように、

祖母からの遺産は私だけの物。

アキナにすら今は権利がないの。

 

それから、移した先に元から貯めて

あるお金は私が子どもの時から

結婚するまでに貯めたお金なの。

これもあなたには

関係ないお金だから、

財産分与の対象外。

私だけの物。

 

最後に、生活費は折半していたし、

アナタはそれ以外のお金を

自分のためだけに浪費してた。

私は貯金してた。その違いだけ。

わかる?あなたは名義のお金に、

権利なんて1つもないの!」

 

「もし、どうしても

分与するって言うのなら

あなたのヘソクリも、

隠し持ってるブランド品や

ガジェットも、全部分与の対象に

するからね!」