最終的に私の同意が
あったとはいえ、ほぼ勝手に通帳を
持ち去っておいて、残高に
ケチをつけるとは図々しい。
ナナコ
「これって、
嫌がらせのつもりですか!?」
夫の後ろにいた女性も
一緒に私を詰る。
彼女こそがナナコ、
つまり夫の浮気相手だった。
私
「どうもこうも、
その残高8円の通帳を欲しがったのは
あなたじゃない」
アキナ
「8円?スーパーの駄菓子でも
買える物、あるかな?」
外からの音が怖くて私にピッタリと
くっついてきたアキナだったが、
「残高8円に父親が
文句をつけている」
というシチュエーションに驚いて、
思わず言葉が
漏れてしまったようだ。
夫
「お前、マイホーム資金を
貯めてるって言いながら
使い込んでたんじゃねーか!」
ナナコ
「詐欺よ、詐欺!」
これにはちょっとした
カラクリがあった。
私は前回の夫の使い込みが
あってから、この口座が
危ないと思っていた。
だから、独身時代というか、
小学生の頃から持っていた
別の口座に
ほぼそっくり移し替えた。
8円だけ残っていたのは、
私が数字の入力を
ミスってしまったせい。
たった8円だからいいかなって。