眠い。私は睡魔に負けて、
スマホをサイレントモードにし、
2度寝した。
チャイムでは飽き足らず、
ドアを荒々しくドンドンと
叩く音も響いてくる。
夫
「おい、俺だ!
ここを開けろ!開けないかー!」
アキナ
「パパの声?」
私
「そうみたいね」
ちょ、アンタ昨日の朝、
家の鍵を置いて
出ていったでしょうが!
言うに事を欠いて、
「開けろー!」
はないでしょう。
腹筋崩壊するかと思った。
私と娘はゆっくりと着替え、
それから玄関の鍵を開けた。
夫
「ト、トウ子!何だこれは!?」
私
「ああ、あなたが
持っていった私の通帳でしょ?」
夫
「違う、そうじゃない!
なんで残高が8円なんだ!」
離婚届を置いて姿を
くらませた翌日によく
戻って来られたものだと思ったが、
その原因は預金残高のせいだった。