浮気

私の貯金を充てにして駆け落ちした夫【6】

 

それはちょっと寂しいものが

あるな、人として。

 

そう思って

私は思わず聞いてしまった。

 

「パパがいないと寂しいかな?」

 

アキナ

「なんで?

最近のパパ、なんか変だったから

嫌いだったもん。

 

あの様子だとどうせよその女の人と

イチャイチャしてたんじゃない?

浮気って言うんだっけ?

私みたいな大きい子どもがいる

オジサンなのに、

なんか気持ち悪い!」

 

夫は娘にも

本性を見透かされていたようだ。

 

アキナ

「ママが居てくれて、

これから新しいお家も

できるんだよね?

それならちっとも寂しくもないし、

悲しくもないよ。

 

パパが居なくなって、

寧ろ清々する!」

 

とのことだった。

 

私は安心するとともに、

少し反省した。

娘に

「父親が居なくて清々する」

なんて言葉を言わせる前に、

大人同士できっちりと

話をつけるべきだった。

 

怪しいと勘付いたときに

すぐに手を打つべきだった。

 

その日、私は娘と一緒に外食をし、

近場の天然温泉に入って

母娘水入らずの時を楽しんだ。

 

翌日は土曜日で

学校も職場もお休み。

多少夜更かししても

構わないだろう。

 

翌朝、私はスマホが断続的に

振動する音で目が覚めた。

 

時刻は8時少し前。

隣の娘は可愛らしい寝息を

立てている。