浮気

私の貯金を充てにして駆け落ちした夫【5】

 

そんな男から離婚を切り出される

私もなんだか焼きが

回ったかなぁって。

 

翌朝、目を覚ますと

夫は消えていた。

 

ダイニングテーブルには家の鍵、

それと離婚届がペイパーウェイトに

挟んで置いてあった。

 

夫の名前と、

印鑑だけが記入してある。

 

あ、飛ばれた?

通帳は私から差し出したようなもの

だけど、慰謝料すら踏み倒す気だ。

 

本当に、責任感の

欠片もない男なのだと、

ほとほと愛想も尽きた。

 

私は夫の会社の始業時刻を待って

電話を入れたが、

出社していないという。

 

なんとなくわかっていた。

 

夕方、私は学校か

ら帰ってきた娘に、

ありのままを話すことにした。

 

「アキナはママと

一緒に暮そうね」

 

アキナ

「うん!でも」

 

「どうしたの?」

 

アキナ

「新しいお家は

どうなっちゃうの?

パパがいないのに、建てられる?」

 

「パパが居なくても

お家は建てられるよ」

 

アキナ

「お家が

できるってわかれば、

それでいいや!」

 

娘の関心は父親よりも

新しい家だった。