そんな男から離婚を切り出される
私もなんだか焼きが
回ったかなぁって。
翌朝、目を覚ますと
夫は消えていた。
ダイニングテーブルには家の鍵、
それと離婚届がペイパーウェイトに
挟んで置いてあった。
夫の名前と、
印鑑だけが記入してある。
あ、飛ばれた?
通帳は私から差し出したようなもの
だけど、慰謝料すら踏み倒す気だ。
本当に、責任感の
欠片もない男なのだと、
ほとほと愛想も尽きた。
私は夫の会社の始業時刻を待って
電話を入れたが、
出社していないという。
なんとなくわかっていた。
夕方、私は学校か
ら帰ってきた娘に、
ありのままを話すことにした。
私
「アキナはママと
一緒に暮そうね」
アキナ
「うん!でも」
私
「どうしたの?」
アキナ
「新しいお家は
どうなっちゃうの?
パパがいないのに、建てられる?」
私
「パパが居なくても
お家は建てられるよ」
アキナ
「お家が
できるってわかれば、
それでいいや!」
娘の関心は父親よりも
新しい家だった。