浮気

私の貯金を充てにして駆け落ちした夫【4】

 

けれど、明らかに若い女性向け

ブランドのバッグだし、

私の手元には来ていない。

 

母の日や義母の誕生日に

近い日時でもない。

ほぼ確定と

判断して問題ないだろう。

 

通帳を寄こせ、と言われた時に

これだけのことが

一瞬で頭の中を駆け巡った。

 

「離婚したら俺たちに

マイホームなんて要らないじゃん。

 

慰謝料と養育費はもちろん、

ちゃんと払うよ。

養育費は毎月の分割でいいだろ?」

 

「ヒロノリがそれでいいなら

いいけど。

知らないよ?」

 

「サンキュー♪」

 

「口約束じゃ後で

言った・言わないで

揉めるもとになるから、

明日きちんと公正証書を作ろうよ。

 

それからアキナにも話さないと」

 

「オッケー、オッケー」

 

夫はさも肩の荷が下りたとばかりに

足取り軽く寝室へ向かっていった。

 

手には後生大事に

通帳を握ったまま。

 

私は夫がポンコツであることを

再確認した。

 

多少仕事ができなくても、

家族思いで優しい夫・

父親ならまだしも。

 

子どもを平気で捨てる、

浮気する、

仕事できないのコンボじゃねぇ。