元義父
「そんな、
結婚できていたなんて」
元義母
「嘘でしょう…」
失礼な!
実家に凸してきているメンツが
メンツなので、
現夫と息子は
車で待っていてもらっていた。
けれど、現夫は私の両親が
大暴れした物音に気付き、
心配で駆けつけてくれたのだ。
優しい。
ちなみに現夫とは
職場で出会った。
私が仕事に復帰するのと
前後して入社してきた人。
ヘッドハンティングだった
っていうのも頷ける程、
仕事が良くできる人だ。
何回もチームを組んで
仕事をするうちに、お互いに
惹かれ合うようになった。
誠実な人柄な彼に
嘘や誤魔化しをしたくなくて、
私はウイッグを
使っていること、病気の事を
全て包み隠さず伝えた。
現夫はそれでも私と
一緒に居たい、
結婚したいと言ってくれた。
一瞬の迷いも、
そこにはなかった。
現夫の家族と
顔合わせした時も、
とても優しくて
大らかな人達だった。
ああ、現夫は確かに
この人たちの
息子なんだなって、
心がじんわりと温かく
なるような家族だったよ。