元夫
「え?
卵巣まだ元気なんだ。
俺も完全な不妊じゃないから、
抗がん剤治療が終わったら
子作りで…」
元夫が妄言を放っている横で、
私の番号が呼び出された。
当然、私は元夫の戯言を
無視して診察室に入るのを
優先した。
診察が終わると、
元夫の姿はもうなかった。
検査の結果はまたしても
良好だったけど、
変な物体X=元夫と
遭遇してしまったため、気
分は優れなかった。
帰宅も元夫の手先になった
義両親に
尾行されていないかとか、
神経を使った。
自宅特定はされなかったけど、
1か月後、私の両親から
ヘルプコールが掛かって来た。
なんと、元夫と義両親が
実家凸を華麗に
敢行してくれやがったのだ。
根負けした両親が私に縋って
来たというわけだ。
私としても闘病中にあれだけ
支えてくれた両親に迷惑を
掛けるわけにはいかない。
意を決して、元夫一家と
対峙することにした。