モラハラ

病気がわかると捨てられた私【9話】

 

待合室で順番を待っていると、

ポンと肩を叩かれた。

 

「キヌ子じゃん。久しぶり。

元気そうじゃん」

 

元夫だった。

 

離婚届を丸めて

投げつけて以降、

一切顔を合わせて

いなかったのにどうして?

 

こんな場所で会うなんて。

私は努めて無視をした。

 

相手にされていないことに

気づいた元夫は、

私の隣に腰かけた。

 

私は席を移ろうと

立ち上がったが、元夫が

手を掴んで引き留めた。

 

元夫

「おい、待てよ。

無視すんなって。

その様子だと手術は

上手く行ったんだろ?

 

で、定期健診って

ところじゃねーの?」

 

「関係ないでしょ」

 

元夫

「あwまだ根に

持ってたりする?

あの時は悪かったって。

 

俺もさー、ちょっと

状況が良くないんだわ」

 

「もう関わるなって

言ったのはあなた」

 

元夫

「いやwそうだけどw

そうツンケンすんなって。

俺、明日手術なんだよ」

 

「あ、そう」

 

元夫は私のうっすい反応を

気にもせず、話し続ける。

 

どうやら再婚しても

子どもができず、

もう1度検査をしたら

精巣腫瘍がわかったとのこと。

 

軽く見ていたらあっという間に

悪性化してしまい、

摘出手術をしなくては

ならなくなったとか。