モラハラ

病気がわかると捨てられた私【6話】

 

そんな不安定な

私を支えてくれたのは、

実両親だった。

 

両親は私を追い詰め、

病気を理由にポイ捨てした夫と

義実家に精神的苦痛を

与えたとして慰謝料を

支払わせようと弁護士を

当たっていたとも知った。

 

けれど、当時の私にとっては

自分の病気と向き合うのに

精いっぱいだったし、

余計に虚しくなるだけだからと

両親にやめてもらった。

 

過ぎたことにエネルギーを

使うより、これからのことに

集中したい。

 

そう伝えると両親は

私の気持ちが上向くような

言葉を掛けてくれた。

 

憎しみよりも希望を。

 

そんな両親の元に

生まれたことを

私は心から感謝した。

 

だから、そんな両親に逆縁の

不幸を味わわせてなるものか、

と気力も湧いてきた。

 

手術自体は麻酔が

効いている間に終わっていた。

 

目を覚ました時に真っ先に

視界に映ったのは、

優しく微笑む両親だった。

 

あ、成功したんだ…。

 

そう安心したら、

また眠ってしまった。

 

手術そのものよりも術後の

抗がん剤治療の方が辛かった。

 

止まらない吐き気に、

全身の痛み、むくみ、倦怠感。

本当に辛かった。