どうやら夫には
私が知らないうちに
浮気相手を作っていたらしい。
あ、子どもを産ませてそちらと
くっつく気なら、もう浮気じゃ
なくて本気だね。
これ以上何かを言っても
無駄だと悟った私はせめてもの
抵抗として、離婚届に乱雑に
自分の氏名を書きなぐり、
丸めて夫にぶつけた。
と言い捨て、10万円が入った
茶封筒を
ベッドに放り投げていった。
義母
「じゃ、あなたの幸せを
願っているから」
義両親も表面だけ取り繕った
言葉を私に掛けて
病室を出ていった。
廊下では新しい夫の嫁候補が
どんな人なのか、
結婚式はどうするかという話で
盛り上がっている様子だ。
あまりに惨めで、その日は
ベッドに突っ伏して
ずっと泣いていた。
入院中は生気のない顔で病院の
屋上へ1人で向かってしまい、
慌てた様子の看護師さんに
保護されたこともあった。