モラハラ

病気がわかると捨てられた私【3話】

 

「俺たちは子どもが

欲しくて妊活して、

不妊の検査まで受けたんだ。

で、お前には子どもが

望めないってわかった。

 

もう1度言うけど、

俺は俺の子がほしい。

俺のお袋と親父も、俺の血を

受け継いだ孫が欲しい。

言いたいこと、わかるか?」

 

理解はできる。

 

けれど、頷きたくはなかった。

 

フリーズしている私に

イラついたのか、夫は

1枚の用紙を取り出して

突き付けた。

 

「これ、離婚届。

キヌ子の所を書いてくれれば、

他はこっちで書くし、

役所にも届けておく。

 

入院手続きをしたんだから、

印鑑は持ってるだろ?」

 

「こんな、急に…?」

 

「急ってわけでもないだろ。

最近俺たちは意見が

合わないことだらけ。

 

唯一一致していたのは

子どもが欲しいってことぐらい

だったのに、お前はガンで

子どもも産めなくなると来た。

一緒にいる意味、あるか?」

 

何も言えない私に、

義両親が追い打ちを掛ける。

 

義母

「あなた、不妊検査を

息子に

付き合わせたそうじゃないの。

 

その結果がコレでしょう?

本来なら息子を解放して

あげようって考えるのが、

妻としての

最後の愛情の示し方…

なんじゃないのかしら?」

 

義父

「子どもを持って

初めて人は1人前になるんだ。

私は息子には1人前の男に

なってほしい。

 

なりたくてなる病気じゃないの

はわかるし、君が悪かったとは

思わない。

けれど半端者にしかなれない

キヌ子さんと息子では

つり合いが取れない」