卵巣は肝臓と同様に
「沈黙の臓器」と呼ばれる。
卵巣がんは気づかないうちに
病状が進行していることが
多く、そのため死亡率が高い。
あれよあれよという間に、
私の手術が決まった。
医師から告知を
受けているとき、
夫は何も言わなかった。
帰りに、
夫
「やっぱり子どもが
できない原因は
俺じゃねぇじゃん」
と呟いた声だけが
私の頭に残った。
入院当日、私に
付き添ってくれたのは
夫ではなく両親だった。
不安がる私を励まして、
両親は帰って行った。
入れ替わりに病室に
入って来たのは
夫と義両親だった。
私の部屋は4人部屋だったが、
丁度男女の入院者数の
調整があり、その日だけは
私1人だけしか
入室しておらず、
実質1人部屋だった。
3人の目は…
それはもう冷たかった。
夫
「卵巣がんって卵巣を
取るんだよな。ってことは、
子どもはもう
産めないってことだろ?
俺は子どもがほしい」
ある程度予想できた
言葉だった。
だけど、夫からは
1番言ってほしくない
言葉でもあった。
夫は続ける。