モラハラ

病気がわかると捨てられた私【2話】

 

卵巣は肝臓と同様に

「沈黙の臓器」と呼ばれる。

 

卵巣がんは気づかないうちに

病状が進行していることが

多く、そのため死亡率が高い。

 

あれよあれよという間に、

私の手術が決まった。

 

医師から告知を

受けているとき、

は何も言わなかった。

 

帰りに、

 

「やっぱり子どもが

できない原因は

俺じゃねぇじゃん」

 

と呟いた声だけが

私の頭に残った。

 

入院当日、私に

付き添ってくれたのは

夫ではなく両親だった。

 

不安がる私を励まして、

両親は帰って行った。

 

入れ替わりに病室に

入って来たのは

夫と義両親だった。

 

私の部屋は4人部屋だったが、

丁度男女の入院者数の

調整があり、その日だけは

私1人だけしか

入室しておらず、

実質1人部屋だった。

 

3人の目は…

それはもう冷たかった。

 

「卵巣がんって卵巣を

取るんだよな。ってことは、

子どもはもう

産めないってことだろ?

俺は子どもがほしい」

 

ある程度予想できた

言葉だった。

 

だけど、夫からは

1番言ってほしくない

言葉でもあった。

 

夫は続ける。