モラハラ

病院なんて大袈裟すぎると熱のある娘を放置して外出した夫… 【5話】

 

キヌ子

「冷蔵庫にある
 
ピーチゼリーか、

プレーンのヨーグルトを

あげてちょうだいね。
 
それなら食べてくれると思うから」

 

忙しい朝の時間の合間を縫って

説明をしてるのに

 

リョウ

「あ~、はいはい。

なんとかなるって」

 

と、非常に適当な返事が返ってきた。

一抹の不安はあったが、

私は仕事に出かけた。

そして、その予感は的中した。

仕事中もリコの容態が心配で

何度かLINEを送ったのだが

夫からの返事も

なんというか…すごく曖昧で。

 

キヌ子

「ねぇ、病院で診てもらった?」

 

リョウ

「…うん。
 
風邪みたいなもので

大したことないってさ」

 

お医者様が

風邪「みたいなもの」

…なんて言い方する?

 

キヌ子

「処方された薬を教えて。
 
薬の名前だけでもいいし
 
薬袋の写真でもいいから送って」

 

…と、LINEを送ったら

それ以降、連絡が途絶えてしまった。

その後も何度かLINEを送ったが

ついには既読すらつかない。

血の気が引くってこのことかと思った。

耳の奥で本当に【サーッ】って音が

聞こえた気がした。

その後は、とにかくかつてないほどの

スピードで仕事を片付けた。

そして職場の上司や同僚に、

娘が熱を出して1人で

家にいるかもしれないことを伝えた。