浮気

優しいマイホームパパの裏の顔… 【12話】

 

自分で撃退しておきながら、

父は

 

 

「根性なしだのー。
 
あの程度で尻尾を巻いて帰るとは

お前、次の男はもうちょっと
 
芯のしっかりした奴にしろよ」

 

 

と、呆れかえっていた。

地味に私にもとばっちりが来た。

解せぬ。

だが、父の次の言葉で

私の涙腺は不覚にも緩んでしまった。

 

 

「キヌ子は昔からしっかり者で、

なんでも自分で片づけてたからなぁ。
 
キヌ子の良い所でもあるんだが

お父さんとしては
 
ちょっと寂しいんだなぁ…

辛いことがあれば
 
いつだって頼っていいんだよ。
 
可愛い可愛い娘の幸せが
 
親として何よりの望みだ。

そのための手助けなら、
 
いくらしたって構わないんだ。
 
それが親ってもんだろ」

 

 

私に背を向け、

どこか遠くを見つめながら伝えてきた。

もしかして照れ隠しかもしれない。

おかげで私も目に溜めた涙を

見られなくて済んだ…気がする。

やっぱり親って偉大だな。

我が子の気持ちを

こんな風に汲んでくれるなんて。

私もレンにとって

そんな親にならないと!

…と私は気を引き締めた。