自分で撃退しておきながら、
父は
父
「根性なしだのー。
あの程度で尻尾を巻いて帰るとは
お前、次の男はもうちょっと
芯のしっかりした奴にしろよ」
と、呆れかえっていた。
地味に私にもとばっちりが来た。
解せぬ。
だが、父の次の言葉で
私の涙腺は不覚にも緩んでしまった。
父
「キヌ子は昔からしっかり者で、
なんでも自分で片づけてたからなぁ。
キヌ子の良い所でもあるんだが、
お父さんとしては
ちょっと寂しいんだなぁ…
辛いことがあれば
いつだって頼っていいんだよ。
可愛い可愛い娘の幸せが
親として何よりの望みだ。
そのための手助けなら、
いくらしたって構わないんだ。
それが親ってもんだろ」
私に背を向け、
どこか遠くを見つめながら伝えてきた。
もしかして照れ隠しかもしれない。
おかげで私も目に溜めた涙を
見られなくて済んだ…気がする。
やっぱり親って偉大だな。
我が子の気持ちを
こんな風に汲んでくれるなんて。
私もレンにとって
そんな親にならないと!
…と私は気を引き締めた。