浮気

優しいマイホームパパの裏の顔… 【11話】

 

「嫌。それよりも慰謝料と養育費が先」

 

 

…と、にべもなく断ると

 

 

トウマ

「なんだよ!?
 
俺が下手に出れば調子に乗って!

この…!」

 

 

元夫が腕を大きく振り上げたところで、

動きが止まった。

 

 

「うちの玄関先で何をしてるんだ!」

 

 

父が元夫を一喝した。

私の父は元プロボクサーで

現ボクシングジムの

オーナー兼トレーナー。

その辺の同世代どころか、

20代30代の平均的な男性と比べても

遥かに筋肉質だ。

そんな父を、顔合わせの時から

元夫は苦手にしていた。

 

 

トウマ

「あの、えっと、いえ、
 
なんでもありません…」

 

 

と、蚊の鳴くような声で答えるのが

精一杯の元夫。

父は元夫に歩み寄り、

胸倉を掴んで吊し上げた。

 

 

「おい、俺の娘に今度
 
手を上げるような
 
素振りを見せてみろ!?

その時は俺が相手になってやるからな!
 
わかったか!」

 

 

ブンブン揺さぶりながら

ドスを聞かせた声で元夫を怒鳴りつけた。

元夫は振り回されたせいなのか

恐怖からなのか、

歯をガチガチさせながら

 

 

トウマ

「す、すみません…。謝ります。

2度とお嬢さんには近づきません…」

 

 

這う這うの体で帰って行った。