浮気

優しいマイホームパパの裏の顔… 【7話】

 

帰り際にもこちらを振り返りながら

 

 

ユリエ

「絶対よ!絶対別れなさいよ!」

 

 

念押ししてくるユリエは恐怖だった。

私は息子の荷物を数日分まとめ、

息子が帰ってくるとすぐに

実家に預けに行った。

事情を知って、私の両親も

可愛い孫に何かあったら大変だと

快く引き受けてくれた。

しばらく息子は、

実家から幼稚園に通うことになる。

実家が近くて本当に良かった。

私は家に出る前に

一緒に持ってきた離婚届を

帰宅がてら提出した。

自分の記入欄と日付を

埋めるだけだったので楽だったし、

不備もなくあっさりと受理された。

これで夫とは赤の他人になれた。

いつも通りの時間に帰宅した夫は、

息子の不在を不思議がる。

 

 

トウマ

「レンはどうした?どこにいるんだ?

いつもなら【お帰り!】って

言ってくれるのに…」

 

 

「レンは私の実家。
 
しばらく帰ってこないわ」

 

 

トウマ

「なぜだ?」

 

 

「…ねえ、トウマ。
 
今日、ユリエさんって人が家に来たのよ」

 

 

そう言うと硬直する夫…

もとい元夫。