私
「ねえ、トウマ。この
タオルハンカチどうしたの?」
トウマ
「え?」
こちらに目を向けた夫は
明らかに挙動がおかしくなった。
トウマ
「か、かいしぁの
同僚を乗せた時に
落としたのかもしれないなぁ」
私はピンときた。
これは嘘をついている。
「会社」を噛んでるし。
夫は嘘や誤魔化しをすると
すぐに表に出る人で、
言葉を噛む、というのも
その時に出る癖の一つだった。
そもそも、夫の部署で
一緒に外回りをする人は男性ばかりだ。
ピンク色のタオルハンカチで
可愛いパンダの刺繍が入った
明らかな女性ものなんて、
まず使わないだろう。
私は、
私
「あら、そうだったの?
洗濯しておくから、
その方に返してあげてね」
かるく流し、普通に
アスレチックを楽しんだ。
ドラマや漫画で見たから、
私は知っていた。
車にあからさまな
女性物を残していくのが、
浮気相手から本妻への
挑戦状だと言うことを…!
モヤモヤしたものを
抱えていられない質の私は、
深夜夫が寝静まったタイミングで
スマホチェック。
やり取りの頻度が多く、
私が知らない女性がいた。
この人が浮気相手で間違いがなかった。
家族サービスがマメな夫が、
いつ浮気をしているのか
正直疑問だったが、
その理由もわかった。
ちょうど仕事の配属先が変わったとかで、
残業をし始めた頃だった。