私はキヌ子。
会社員の夫・トウマと
パート主婦の私、
5歳のヤンチャ盛りの息子・レンという、
ごくありふれた家族構成だ。
私と夫は学生時代の
アルバイト先で交際を開始し、
私の卒業後すぐに結婚をした。
ほどなくして息子が生まれ、
どこにでもある幸せな家庭だった。
夫は本当に子煩悩で、
息子の幼稚園であった運動会でも
トウマ
「レン、パパの
カッコいい所みたいだろ?
ちゃんと見ていろよ」
と、張り切って
保護者リレーに参加した。
4人をアッと言う間にごぼう抜きし
トップに躍り出た姿は、
園児や保護者席を大いに沸かせ
レン
「パパ、すごく足速いんだ!
カッコいい!」
って競技後に息子も
飛びついて喜んでいた。
もちろん私のことも
とても大事にしてくれる、
マイホームパパ。
私と息子にとって
自慢の夫であり父親だった。
そんな幸せファミリーな私たちは、
週末になると遊園地や公園、動物園など
息子が喜びそうな所へ出かけていた。
公園や動物園に行くときは
お弁当を持参する。
これは夫の強い希望による。
というか、夫の普段の昼食も
私の手作り弁当だ。
大変ではあるけど、夫も息子も
【おいしい、おいしい】
と、モリモリ食べてくれる姿が嬉しくて
毎日腕を振るっていた。
そんなある日、
アスレチックに行こうと
車に乗り込んだところで、
見覚えのないタオルハンカチを見つけた。
可愛いパンダの刺繡があるが、
私の趣味ではない。